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一次調整力

概要​

リソースが需給調整市場で取引するには、事前審査に合格する必要があります。監視方法がオフラインとして登録された一次調整力のリソースでは、現地で取得した性能試験データをアグリゲーター(通常はTensor Energy)が属地TSOへ提出します。

一次調整力のリソースは、指令に従うのではなく、調定率にもとづき自端制御で系統周波数に応動します。データ取得では、制御系に入力される実測の周波数を模擬周波数信号に置き換え、その出力応答をリソースについて登録された値と比較します。信号は、制御系へ配線したハードウェアの信号源でも、EMS上のソフトウェアによる生成でも構いません。いずれの場合も、制御系へ入力する値と、EMSが計測して送信する値は同じである必要があります。

本ページについて​

本ページでは、性能試験データの取得方法を説明します。対象は、EMSインテグレーター、EPC事業者、および模擬周波数を制御系へ注入する注入担当です。ハードウェアの信号源を用いる場合、注入担当は多くの場合EPC事業者または蓄電池メーカーです。ソフトウェアで生成する場合はEMSインテグレーターが担当します。

属地TSOおよび広域機関に対する手続きはすべてアグリゲーターが行います。

手順​

ダウンロード

注入担当向けの模擬周波数パターン: fcr-prequalification-mock-frequency-ja.xlsx

ワークブックは試験コマごとに1シートで、1秒ごとの行に、注入する周波数と蓄電池が保持すべき基準値を記載しています。実施手順は1枚目のシートにあります。

実施前​

期限担当作業
実施日の3週間前アグリゲーターEMSインテグレーターおよび注入担当と実施日を決める
実施日の2週間前EMSインテグレーターTensor Cloudとの連携試験を完了し、テレメトリーが届くことを確認する
実施日の1週間前EMSインテグレーター制御器に設定した調定率と不感帯がEPRXに登録された値と一致していることを、アグリゲーターと確認する。登録値を参照
実施日の1週間前EMSインテグレーター、EPC事業者資料をアグリゲーターへ送付する
実施日の1週間前アグリゲーターリソースの規模にもとづいて試験コマ1および3の充電中の基準値を決める
実施日の前日Tensor Cloud基準値スケジュールを通常の指令トピックで送信し、最初の試験コマの1時間前と3つの試験コマを含む一次調整力スケジュールを送信する。最初の試験コマの開始時点で蓄電池がSOC 75%となるよう充放電を計画する。一次調整力スケジュールにより1Hzでの送信に切り替わるため、手動での切り替えは不要

当日​

時点担当作業
各試験コマの間注入担当ワークブックのパターンを、実測の周波数に代えて制御系へ入力する
各試験コマの間EMS注入された信号を計測して1Hzの周波数とし、送電端の1秒平均kWによる1Hzの電力とともに、pre_qualification: true を設定して送信する。コマ終了後にフラグを解除する
実施中EMSインテグレーター連絡が取れる状態を維持する。アグリゲーターは現地には出向かない

取得したデータはすべて通常のテレメトリーでTensor Cloudに届きます。

実施後​

期限担当作業
取引開始予定日の3ヵ月前アグリゲーター電力、周波数および基準値から応動を算出し、属地TSOへ事前審査を申請する。属地TSOは申請から原則3ヵ月以内に審査する
実施後注入担当注入ログを保管する

資料​

事前審査では、リソースおよび現地の構成や設定を示す資料も必要です。テレメトリーでは送れないため、実施前にアグリゲーターへ送付してください。

EMSインテグレーターから​

要件必要なもの形式
指令・制御、制御間隔(自端制御)自端制御による調整機能の説明資料。制御ブロック図、演算周期、および入力が自端で計測した周波数であること。調定率にもとづく制御をPCSが担う場合は、蓄電池メーカーから取得してくださいPDF
周波数計測間隔(0.1秒以下)周波数計測機器の仕様書PDF
周波数計測誤差(±0.02 Hz以内)同じ仕様書。試験成績書または校正証明書がある場合は併せてPDF
不感帯、調定率制御器に設定された値、および周波数偏差補償機能の有無PDF
遅れ時間(2秒以内)内訳。周波数計測遅れ、制御ロジックの演算遅れ、実機器の制御遅れ。PCS側の遅れは蓄電池メーカーから取得してくださいPDF

周波数計測機器の仕様書またはデータシートには、計測間隔(更新周期)と精度の記載が必要です。記載がない場合は、機器本来の周期で記録した短時間の生ログ(0.1秒以下の間隔のサンプルと値が並んだもの)も送付してください。

EPC事業者から​

必要なもの形式
構内単線結線図PDF
敷地平面図PDF
連続運転可能電圧(上限値・下限値、%)書面で数値(メール可)
計量設備が取引規程第13条第1項(2)ハの要件に適合していることの確認書面(メール可)
発電所ユニット数、託送計量器の設置位置、託送計量器の計量電圧(送電端電圧/発電端電圧)書面で数値(メール可)

要件​

項目要件確認方法
不感帯±0.01 Hz以内(50Hzエリア)または±0.012 Hz以内(60Hzエリア)試験b
調定率5%以下。かつ周波数偏差幅によらず一定。設備の特性上等の理由により属地TSOが認める場合は、この限りではありません試験b
応動時間30秒以内試験a
遅れ時間2秒以内試験a
周波数計測間隔0.1秒以下資料
周波数計測誤差±0.02 Hz以内資料

登録値​

アグリゲーターは、リソースの供出可能量、調定率および不感帯をEPRXに登録し、両方の試験は応動をこれらの登録値に対して評価します。

  • 供出可能量は、0.2 Hz(北海道電力ネットワークの属地エリアでは0.3 Hz)の周波数低下から30秒以内に到達できる最大の出力変化量で、一次調整力の入札量の上限になります。当日に蓄電池が実際に供出できる値を登録してください。高すぎると試験aで不合格となり、低すぎると試験bの許容範囲が必要以上に狭くなります。
  • 調定率と不感帯は、制御器に設定した値と一致している必要があります。試験bの各点は登録された調定率に対して評価されるため、蓄電池の設定や実際の飽和点が異なると、自身の曲線に正確に追従していても不合格になることがあります。

試験​

試験コマ​

データ取得では、それぞれ異なる基準値と周波数パターンによる30分の試験コマを3つ使います。評価は試験コマ単位で行われます。

コマパターン基準値示す内容
1試験b(階段状)充電、平坦に保持充電中の調定率および不感帯
2試験b(階段状)充電なし充電していないときの調定率および不感帯
3試験a(1段)最大充電最大充電から最大放電までの全幅にわたる供出可能量

試験コマは連続していなくても構いません。各コマの1時間前も提出対象です。

基準値​

  • Tensor Cloudは、各試験コマの基準値を、通常運用と同じ指令チャネルである cmd/{siteId}/battery/power に蓄電池の電力指令として送信します。
  • 指令値は、コマ全体とその1時間前を通じて一定である必要があります。値が変わると応動を切り出せず、そのコマは評価できません。
  • 他の要因で蓄電池を動かさないでください。基準値と注入した周波数以外による動きは、調定率曲線では説明できない応動として現れます。
  • 出力変化量は、0からではなく基準値からの変化として測ります。コマ3の試験aでは、最大充電から放電側への変化を示す必要があり、供出可能量はその全幅で30秒以内に到達できる必要があります。
  • 試験bでは充電と放電が交互に生じるため、両方向の余力が必要です。蓄電池はSOC 75%から開始し、充電中の基準値は、コマの終了前に満充電にも空にもならない値とします。

試験a(異常時)​

試験aは、基準周波数を60秒保持し、t=60秒で周波数を1段下げ、t=660秒まで保持します。供出可能量を確認できる唯一の試験です。

エリア低下幅供出可能量への到達時間
北海道以外0.2 Hz30秒以内
北海道電力ネットワーク0.3 Hz30秒以内

段の変化から30秒以内に、登録された供出可能量の90%以上に到達する必要があります。応動は補正なしで評価します。

試験b(平常時)​

試験bは、6段階の偏差を各組とも正側から順に与え、不感帯の範囲外で登録された調定率どおりに出力が変化することを確認します。各段は120秒保持し、段の間は基準周波数で30秒とします。

時間(秒)周波数偏差(Hz)継続(秒)
0030
30 / 180+0.010 / -0.010各120
330 / 480+0.030 / -0.030各120
630 / 780+0.050 / -0.050各120
930 / 1080+0.080 / -0.080各120
1230 / 1380+0.120 / -0.120各120
1530 / 1680+0.160 / -0.160各120
18000終了

周波数偏差は50Hzエリアと60Hzエリアで共通です。基準周波数に偏差を加えた値を注入してください。例えば60Hzエリアでは60.010 Hz、50Hzエリアでは50.010 Hzです。

評価は次のとおりです。

  • 各段の変化から30秒間の応動を、立ち上がりの過渡も含めて評価します。
  • 各点は調定率から算出した値±(供出可能量×10%)の範囲内にある必要があり、試験コマ内の点の90%以上が範囲内であることが求められます。そのため、登録した供出可能量が許容範囲の幅も決めます。
  • 属地TSOは、応動を2秒の遅れ時間分遡らせてから周波数と比較するため、2秒以内の遅れは不利になりません。試験aにはこの補正はありません。
  • リソースの不感帯の範囲内の点は評価されないため、±0.01 Hzの段では応動が現れないことがあります。

最大の段は0.16 Hzで、供出可能量が定義される0.2 Hz(北海道電力ネットワークの属地エリアでは0.3 Hz)より小さいため、試験bは出力の上限ではなく調定率曲線への追従を確認します。