一次調整力
このページについて
事前審査は、リソースが需給調整市場に参加するために必ず通過する必要のある関門です。本ページでは、監視方法がオフラインとして登録されたリソースを対象に、一次調整力の実働試験を扱います。一次調整力は、TSOからの指令ではなく、調定率にもとづきリソースが自端制御で周波数に応動する商品であるため、模擬周波数信号を用いて試験します。現地のトランスデューサから制御系へ当該信号を注入し、その結果として得られる出力応答を、当該リソースについて登録された調定率および供出可能量に対して評価します。
本ページはEMSインテグレーターおよびEPC事業者向けです。取引会員はTensor Energyであり、属地TSOおよび広域機関に対する手続きはすべてTensor Energyが行います。本ページで扱うのは、試験前に構築・設定しておくべき事項と、当日の各社の作業です。
トランスデューサを操作する作業者向けの模擬周波数パターン: fcr-prequalification-mock-frequency-ja.xlsx
試験ごとに1シートを備え、両方の試験パターンを1秒ごとの行に展開しています。実施手順は1枚目のシートに記載しています。
試験の流れ
- EPC事業者が模擬系統周波数を注入し、EMSインテグレーターが支援します。 当日、トランスデューサが、実測の周波数に代えて、ワークブックのパターンをリソースの制御系へ注入します。蓄電池は、実際の周波数変動に対するのと同様に、調定率にもとづいて応動します。
- EMSが蓄電池の応答を収集し、Tensor Cloudへ送信します。 EMSインテグレーターは、1Hzの出力応答と、蓄電池を駆動した1Hzの周波数を、通常のテレメトリートピックおよび通常のスキーマで、
pre_qualification: trueを設定して送信します。 - Tensor Energyが事前審査を行います。 Tensor Energyは、この2つの時系列から実際の応動を再構成し、MMSを通じて提出したうえで、属地TSOとの事前審査を進めます。現地での追加作業はありません。
役割分担
| 段階 | Tensor Energy | EMSインテグレーター | EPC事業者 |
|---|---|---|---|
| 登録 | 評価の基準となる調定率、不感帯、供出可能量を登録 | 制御器に実際に設定した値を報告 | - |
| 日程調整 | 属地TSOと試験日および2つのコマを調整し、確定を連絡 | 提案された日程での対応可否を確認 | 提案された日程での対応可否を確認 |
| 試験前 | 広域機関へ発電計画を提出。開始時点でSOC 50%となるよう充放電を計画。1時間前と2つのコマを含む一次調整力スケジュールを送信 | 制御系が注入信号を受け付けることを確認し、試験中に蓄電池を動かす他の要因を停止 | トランスデューサの設置および配線 |
| 当日 | 現地には出向きません | pre_qualification: true を設定し、テレメトリーを送信、連絡が取れる状態を維持 | トランスデューサを操作し、パターンを注入 |
| 試験後 | MMSを通じて属地TSOへ結果を提出 | - | - |
供出可能量
供出可能量は、試験前にリソースについて登録する値であり、一次調整力における入札量の上限となります。オフラインのリソースの場合、0.2 Hz(北海道電力ネットワークの属地エリアでは0.3 Hz)の周波数低下に対し、30秒以内に到達可能な最大の出力変化量です。
登録した値は、次の2つの観点で確認されます。
- 試験aでは、しきい値を上回る段を与え、登録値まで30秒以内に実際に到達することを確認します。
- 試験bでは、各評価点を調定率曲線に対して、登録値の±10%の許容範囲で判定します。すなわち登録値は、階段状パターンにおける許容範囲の幅も決めます。
当日に蓄電池が実際に供出できる値を登録してください。高すぎれば試験aで不合格となり、低すぎれば入札上限が蓄電池の実力を下回ります。
階段状パターンでは充電と放電が交互に生じるため、試験時間を通じて両方向の余力が必要です。Tensor Cloudは、最初のコマの開始時点で蓄電池が**SOC 50%**となるよう、事前の時間帯に充放電を計画します。これにより両方向の余力が確保されます。当該計画に従ってください。後述の指令制御の停止は、試験区間の開始時点からの適用であり、それ以前には適用されません。
オフラインのリソースでは継続時間は評価されないため、必要なのは30秒以内に到達できることであり、一定時間維持できることではありません。
調定率による応動
注入する模擬周波数によって確認する対象です。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 不感帯 | ±0.01 Hz以内(50Hzエリア)または±0.012 Hz以内(60Hzエリア) |
| 調定率 | 5%以下。かつ周波数変動幅によらず一定。設備の特性上等の理由により属地TSOが認める場合は、この限りではありません |
| 応動時間 | 30秒以内 |
| 継続時間 | 評価対象外 |
試験前に、登録されている調定率と蓄電池の実際の挙動を照合してください。評価は各点を登録された調定率にもとづく理論値と比較するため、蓄電池の実際の飽和点が登録値と異なる場合、蓄電池が自身の曲線に完全に追従していても±10%の範囲を外れることがあります。
周波数計測
以下は、連系点で系統周波数を計測する機器に対する要件であり、本試験の対象外です。模擬信号を注入すると当該機器が経路から外れるためです。仕様書や校正成績書などにより別途立証してください。
遅れ時間は上限であると同時に、評価時の補正としても適用されます。属地TSOは、応動実績を2秒の遅れ時間分だけ遡らせたうえで、その原因となった周波数と対比します。したがって2秒以内の遅れ自体が減点されることはありません。適用される補正は2秒の遅れ時間のみです。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 計測間隔 | 0.1秒以下 |
| 計測誤差 | ±0.02 Hz以内 |
| 遅れ時間 | 2秒以内 |
2つの試験
事前審査は、標準パターン化された2つの試験で構成されます。評価が30分コマ単位で行われるため、それぞれ別の30分コマで実施します。
| 試験a(異常時) | 試験b(平常時) | |
|---|---|---|
| 確認項目 | 応動時間、供出可能量、遅れ時間 | 不感帯、調定率 |
| 形状 | 1段の継続的な低下 | 繰り返しの階段状 |
| 長さ | 660秒 | 1,800秒 |
| オフラインでの必要性 | 必要。供出可能量を確認できる唯一の試験 | 必要 |
試験a(異常時)
試験aは、基準周波数を60秒保持し、t=60秒で1段の周波数低下を与え、t=660秒までこれを継続します。
低下幅は、しきい値に到達するだけでなく、これを上回る必要があります。
| エリア | しきい値 | 供出可能量への到達時間 |
|---|---|---|
| 北海道以外 | 0.2 Hz | 30秒以内 |
| 北海道電力ネットワーク | 0.3 Hz | 30秒以内 |
ワークブックでは、要件を明確に満たすため、各しきい値に0.01 Hzの余裕を加えています。継続時間は評価対象外ですが、供出可能量の確認のため試験aのデータは必要です。
試験b(平常時)
試験bは、6段階の偏差を各組とも正側から順に与え、不感帯の範囲外において登録された調定率どおりに出力が変化することを確認します。各段は120秒保持し、段間は基準周波数で30秒とします。
| 時間(秒) | 偏差(60Hzエリア) | 偏差(50Hzエリア) | 継続(秒) |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 30 |
| 30 / 180 | +0.010 / -0.010 | +0.008 / -0.008 | 各120 |
| 330 / 480 | +0.030 / -0.030 | +0.025 / -0.025 | 各120 |
| 630 / 780 | +0.050 / -0.050 | +0.042 / -0.042 | 各120 |
| 930 / 1080 | +0.080 / -0.080 | +0.067 / -0.067 | 各120 |
| 1230 / 1380 | +0.120 / -0.120 | +0.100 / -0.100 | 各120 |
| 1530 / 1680 | +0.160 / -0.160 | +0.133 / -0.133 | 各120 |
| 1800 | 0 | 0 | 終了 |
60Hzエリアのサイトでは60Hzエリアの列を使用してください。50Hzエリアのサイトでは、Tensor Energyが確認済みのパターンを連絡するまで読み込まないでください。本ファイルの50Hzエリアの値は60Hzエリアの値を50/60倍したものであり、未確認です。
評価は各変化点から10秒後以降を対象とし、立ち上がりの過渡は除外されます。評価点は調定率から算出される理論値±(供出可能量×10%)の範囲内にある必要があり、30分コマ内の評価点の90%以上が範囲内であることが求められます。リソースの不感帯の範囲内の点は評価対象外となるため、±0.01 Hzの段では応動がまったく現れない場合があり、それは正常です。
試験bは、供出可能量が定義される偏差には到達しません。最大偏差は0.16 Hzであり、北海道以外の0.2 Hz、北海道電力ネットワークエリアの0.3 Hzのいずれにも達しないため、飽和ではなく調定率曲線上の追従を確認する構成です。供出可能量は試験aで確認します。
試験当日
試験日はTensor Energyが属地TSOとメールで調整し、確定後に連絡します。同一日に30分コマを2つ使用し、各コマで1つの試験を実施します。2つのコマは連続していても、離れていても構いません。系統状況または需給状況により属地TSOがコマを認めない場合があるため、確定の連絡があるまでは暫定日として取り扱ってください。
日程を提案する前に必要なもの
- 登録済みの調定率・不感帯の設定で制御器が動作していることの、EMSインテグレーターによる確認。試運転中に変更した場合は、試験後ではなく事前に報告してください。応動は登録値に対して評価されます。
当日の進め方
- Tensor Cloudが、最初のコマの1時間前および2つの試験コマを含む一次調整力のスケジュールを送信します。通常の一次調整力の約定コマと同じ扱いとなり、これにより1Hzでの送信が開始されるため、手動での切り替えは不要です。この1時間も属地TSOへ提出する対象期間に含まれます。
- 送信するのは、送電端の1秒平均kW値による1Hzの供出電力と、実系統の周波数ではなくリソースを駆動している模擬周波数の値による1Hzの周波数です。
- 試験区間には
pre_qualification: trueを設定し、終了後に解除してください。 - 試験区間中は、注入された周波数以外の要因で蓄電池が動作しないようにしてください。実行中の電力指令スケジュールは停止し、他商品の指令にも追従しない状態としてください。別の要因で出力が動くと、応動が評価対象の調定率曲線と一致しなくなります。
- トランスデューサの操作はEPC事業者が行い、上記のワークブックのパターンを注入します。EMSインテグレーターは試験中に連絡が取れる状態にしてください。
データはすべて通常のテレメトリー経路でTensor Cloudに届きます。Tensor Energyへ別途送付するものはなく、現地で様式に記入する必要もありません。