プロジェクトビュー
プロジェクトビューでは、1つのプロジェクトに関連するすべての重要な情報にアクセスすることができます。最新のシミュレーションの実行結果は、プロジェクトプロパティに沿って表示されます。プロジェクトデータの編集や新しいシミュレーションの実行結果は、ほぼリアルタイムで反映されます。
分析セクションのチャートと同様に、右上の時間表示は、分析の元となるデータがいつアップデートされたのかを表示しています。最新のシミュレーション結果を待っている場合は、ブラウザでページを更新する代わりに、右上にある更新アイコンをクリックすることをお勧めします。
Tensor Cloudは、プロジェクト、PPA、シナリオの変更を検知し、自動的にシミュレーションを実行するため、通常は、手動でシミュレーションを再実行する必要はありません。シミュレーションを再実行しても予期せぬ結果が得られる場合は、Tensorサポートにご連絡ください。
プロジェクト
プロジェクトページは、概要、技術仕様、CAPEXの3つの折りたたみ可能なセクションで構成されています。それぞれがカードで提示される重要な情報を含んでいます。このデータは静的であり、シミュレーションの結果に影響されず、一貫した参照ポイントを提供しています
概要
所在地カード
この情報は、あなたのプロジェクトの物理的な位置と、それが接続されているエリアを理解するための情報です。左側には、所在地名と、プロジェクト所在地の緯度と経度が表示されています。これらをクリックすると、Googleマップ上でプロジェクトの位置が新しいブラウザのタブに表示されます。
位置情報の下には、接続する送配電事業者名と電力会社IDが表示され、すぐにアクセスできるようになっています。
最後の項目は、バランシンググループ情報です。バランシンググループ名をクリックすると、そのプロジェクトのバランシンググループの詳細情報を表示されます。
位置カードの右側には、プロジェクトの所在地にマーカーが付いたインタラクティブな地図ウィンドウがあります。地図左上のボタンで衛星地図と通常の地図表示を切り替え、右上のボタンで地図を最大化することができます。
リンクカード
このカードは、Tensor Cloud上のあなたのプロジェクトと他のエンティティとのすべてのリンクを包括しており、具体的にはバランシンググループ、パワーパーチェース契約(PPAs)、および特定目的会社(SPVs)との関連を示しています。
PPAカード
PPAで運用されているプロジェクトについては、このカードにPPAの名称が表示され、リンクアイコンをクリックすることでPPAに直接ジャンプすることができます。また、契約期間や価格体系など、PPAの重要な契約条件も表示されます。
PPAカードには、補助金カードの平均補助金収入と同様に、PPAの生涯キャッシュフロー(円)を生涯発電量(kWh)で割ったPPA収入の平均期待値が表示されます。この指標は、PPAの価格設定や契約条件の違いが、プロジェクトの収益にどのような影響を与えるかを評価する上で重要です。PPAキャッシュフローの収益貢献度については、売上およびキャッシュフローのページを参照してください。
補助制度カード
あなたのプロジェクトがFITまたはFIPの下で稼働している場合、このカードに補助金制度とFIT調達価格またはFIP基準価格が表示されます。1kWhあたりの平均期待売上は、補助制度(FITまたはFIP)からの収益を生涯売電量(kWh)で割ることによって計算されます。プロジェクトの運転期間が補助金支給期間の20年よりも長く設定されている場合には、この値はFIT/FIP価格より小さな値になります。
タイムラインカード
このカードには、系統連系からシステム寿命までの主要なライフタイムイベントがすべて表示されます。プロジェクトの運転期間、PPAの期間、補助金の開始/終了がどのように重なり、互いに関連しているかを簡単に理解することができます。Tensor Cloudでは、経済産業省からの設備認定から連系までの3年間の猶予期間を考慮しています。設備認定から系統連系までに3年以上の期間が設定されている場合には、補助制度の適用期間が短くなり、売上やキャッシュフロー、IRRのの計算の影響します。
技術仕様
太陽光発電容量カード
プロジェクトのパネル容量、パワコン容量とシステム寿命が表示されます。
太陽光発電システム仕様カード
このカードは、プロジェクトに使用されている 太陽電池とパワコンの種類を表示します。また、プロジェクト設定で指定したインバータの寿命も表示されます。
現在、Tensor Cloudは汎用の太陽電池とパワコンのみをサポートしています。詳細な太陽電池とパワコンの追加設定は、今後のTensor Cloudのアップデートにご期待ください。
太陽光設置条件カード
今後、モジュール、ストリング、アレイについてのより詳細なシステムデザインや設置条件をサポートして行く予定です。現在のところ、Tensor Cloudの現在のサポート状況は、全体のパネル設置角度と方位角に限定されています。
蓄電池技術仕様カード
もし貴社のプロジェクトにバッテリーが含まれている場合、このカードでは包括的な技術仕様が表示されます。具体的には、エネルギー容量、電力容量、総寿命サイクル数、および保証期間(年)が含まれます。
CAPEX
再生可能エネルギープロジェクトの投資および運用コストの分析は、プロジェクト計画、デューディリジェンス、およびプロジェクトの運用管理中の重要なタスクです。Tensor Cloudは、業界をリードするコスト分析を手の届くところで提供します。CAPEXセクションには、支払いスケジュール、累積CAPEXタイムライン、およびCAPEXの詳細が含まれています。
初期投資の支払いカード
支払いカードは、プロジェクト設定に登録されたすべての初期投資支払いの項目を表示し、プロジェクトに多くの初期投資支払いがある場合は、スクロールできます。日付の昇順、降順で並び替えが可能です。
初期投資累計チャート
このチャートは、各支払日における初期投資の累積額を表示し、プロジェクト開発のライフサイクルの各段階における初期投資の支払総額をよりよく理解することができます。本日の日付が初期投資の支払い範囲内にある場合、初期投資累計チャートに本日までの累積支払い額を示すインジケータが表示されます。
初期投資内訳カード
初期投資の支払いを登録する際、カテゴリー別に分類することができます。初期投資内訳表は、このデータに基づいて、初期投資の内訳を個別項目と支払いカテゴリで可視化します。データ設定で、すべての初期投資アイテムをサイズ別に表示するか、支払いをカテゴリー別にグループ化するかを設定することが可能です。
シミュレーション
シミュレーションページは、シミュレーションの結果を表示し、情報はシミュレーションが完了した後にのみ利用可能になります。それは4つの折りたたみセクションに整理されています。
Tensor Cloudは、SolarGISやPVSystのようなエンジニアリングに特化した太陽光発電シミュレーションやモデリングソフトウェアとは異なります。Tensor Cloudのシミュレーション機能は、財務的なパフォーマンスや運用プロジェクト管理に焦点を当てています。よって、より正確なシミュレーション結果を得たい場合には、これらの技術シミュレーションの結果を発電ロスのセクションに入力することをおすすめします。
小規模な分散型プロジェクトの大規模なポートフォリオをモデリングする場合、システムごとに個別のエンジニアリング評価や詳細なモデリングを行うとコストが膨大になるため、Tensor Cloudでは、デフォルトの値が設定されており、簡易な技術シミュレーション機能を備えています。
太陽光発電量
発電量
発電量では、発電量と出力抑制量が表示されます。30分単位の予測の積み上げによって算出されていますが、チャートでは年単位と月単位の合計表示が可能です。
発電量と表示された青い系列は、発電され系統に流れる電力量を表します。出力抑制と書かれた赤い系列は、本来であれば発電されるものの、送配電事業者からの抑制指示によって売電できないと予測される電力量を示しています。
出力抑制
Tensor Cloudでは現在、シミュレーションの際に、日毎に出力抑制を適用しています。プロジェクトが適用される出力抑制ルールにもよりますが、現実には、出力抑制は太陽光発電からの流入量が多い11:00から15:00の間の時間帯に限定されることが多くなります。そのため、Tensor Cloudは出力抑制を若干過大に評価する可能性があります。今後、より多くの出力抑制データを蓄積し、より正確な日時抑制の統計モデルに切り替えていく予定です。
実際の出力抑制量は、地域の送電網の状況や送電網事業者による送電網インフラへの今後の投資に強く依存します。出力抑制の量は、プロジェクトが接続されているシナリオの設定で出力抑制の仮説を変更することで調整できます。
今後、プロジェクトが稼働を開始し、モニタリングデバイスとメーターデータがTensor Cloudに接続されると、Tensor Cloudの機械学習モデルが各プロジェクトの抑制パターンを学習し、時間の経過とともに予測精度が向上することが期待されます。
Tensor Cloudは、将来に関する出力抑制に関する前提条件と過去の出力抑制データに基づいて出力抑制をシミュレートします。
まず、シナリオ設定のプロジェクトが接続されている送配電エリアごとに出力抑制についての仮説を変更することで、各送配電エリアの出力抑制量を変更できます。
Tensor Cloudは、過去の出力抑制実績も考慮しています。典型的な出力抑制パターン(出力抑制が実施された発電の日付、時刻、量)を自動的に連続的に分析します。そのために、過去の出力抑制から、有限フーリエ級数で出力抑制の発生確率を示す周期関数を割り出します。また、各月および各送配電エリアにおいて、各コマが出力抑制の開始時刻または終了時刻になる確率を計算します。
各送配電エリア、各年について、以下のようなステップで計算をします。
- 確率分布に従って、その送配電エリアで出力抑制が発生した日をサンプリングします。
- この日を今年のデータ利用可能日から除外します。
- この月の抑制量分布(0%から100%まで)を表すガンマ分布からサンプリングして、この日にプロジェクトが抑制されるかどうかを決定します。プロジェクトが出力抑制の影響を受ける場合は4へ進み、そうでない場合は1に戻ります。
- 該当する月と送配電エリアから開始時間と終了時間をサンプリングします。
- このプロジェクトにおいて出力抑制される電力量を計算し、これまでの合計出力抑制量に加算します。
- これまでの出力抑制量の合計が、シナリオで設定されている、その年の出力抑制の合計を超える場合は停止し、そうでない場合はステップ1に戻ります。
現時点では過去の出力抑制データが限られているため、このような基本的な確率論的モデルで算出しています。実際の出力抑制量は、地域の送電網の状況や送配電事業者による送配電インフラへの今後の投資によって大きく影響されます。今後、時の経過にともない、より多くの出力抑制が行われ、データが蓄積されれば、最終的には受給バランスやその他の外部要因に基づくより正確な出力抑制モデルに切り替える予定です。
プロジェクトがTensor Cloudに接続し、発電データがリアルタイムでTensor Cloudに送られている場合、機械学習モデルが各プロジェクトの出力抑制パターンを理解するにつれて、精度が向上することが期待されます。
収率カード
このカードは、初年度の太陽光発電の収量と、その収量値が各月でどのように分解されるかを示し、システムパフォーマンスを大まかに見積もるための指標です。経年劣化率については、初年度は2.5%、2年目以降の年率劣化は0.5%で固定されています。将来的には、これを変更するオプションも提供する予定です。
ロスの内訳
ロス設定を視覚的に理解するためのカードです。発電ロスの内訳をウォーターフォールチャートで表示します。
個々の発電ロスの要因の間には、非線形の関係があります。例えば、遮光損失が3%、ケーブル損失が4%であっても、全体の損失が7%になるとは限りません。この数値の設定にあたっては、エンジニアリングの専門家に相談するか、PVSystやSolarGISなどの太陽光発電エンジニアリングソフトウェアからこれらの値を入力することをおすすめします。
運転費用
運転費用チャート
このチャートとテーブルは、プロジェクトのシステム寿命期間にわたる運転費用項目を表示します。右上のチャート オプションで、チャートとテーブルの解像度を切り替えたり、特定の運転費用項目を表示しないようにすることができます。
チャートに表示されないコスト項目は、純粋に視覚的なものであり、元となる財務モデルからこれらの項目が除外されるわけではありません。IRR およびその他の上位の結果には影響しません。実際に運転費用を変更するには、プロジェクト設定の運転費用費用 を編集してください。
累計運転費用の内訳チャート
運転費用内訳表は、分析やベンチマークを行う際に、システム寿命期間中の運転費用コスト項目のバランスを素早く把握するために使用します。運転費用の運転期間中累計と同様、コスト項目の順番が固定されているため、プロジェクト間の比較が視覚的に容易に行えます。
ある項目のコストが特に小さい場合や、横方向の画面サイズに制限がある場合は、カーソルをその項目に合わせないと割合や金額が表示されない場合があります。
売上
主要KPIカード
このカードには、プロジェクトの財務パフォーマンスの最も重要な3つのKPIが表示されます。
IRRはプロジェクトの生涯キャッシュフローから導き出されます。IRRの計算が正しく機能するためには、正しく初期投資の支払い を入力することが必要です。初期投資の支払いの情報が入力されていない場合、このカードには「初期費用を登録してください」とメッセージが表示されます。
期待される生涯売上は2番目の項目で、市場売上、PPAキャッシュフロー、補助金収入の合計で構成されます。
市場収入 は、スポット市場、時間前市場、または調整力市場での売上です。 補助金収入は、FIPまたはFIT制度の下で運用されるプロジェクトへの支給額です。 PPAキャッシュフロー:プロジェクトからの電力と環境価値をPPAを通じて販売することによって生じるキャッシュインまたはキャッシュアウトの差し引き額です。
プロジェクトとPPAの設定によっては、必ずしも3つの収益源がすべて適用されるとは限りません。例えば、PPAとのリンクがないプロジェクトではPPAキャッシュフローが0、補助金のないプロジェクトでは補助金収入が0、市場での売買期間の無いプロジェクトでは市場売上が0になります。
IRRを比較・評価する際には、必ず売上ページまたはキャッシュ・フローページでプロジェクトの売上構成を確認してください。
売上では、Tensor Cloudシミュレーションモデルに基づくプロジェクトの予測売上を、チャートおよびテーブル形式で確認できます。チャートオプションでは、データを項目ごとに表示するか、または合計を表示するかを切り替えることができます。データの時間分解能の最小単位は月ごとです。
市場売上
現在、Tensor Cloudは市場売上としてスポット市場と時間前市場だけを考慮しています。今後、蓄電池の導入により、調整力市場も含めてシミュレーションを行えるように、機能開発を進めています。
時間前市場での取引によっても売上を上げることができます。特に電力価格が高い時間帯に発電をシフトさせる蓄電池を導入すると、財務パフォーマンスを向上させることができるようになる可能性があります。蓄電池を利用しない場合には、時間前市場での取引は、発電予測と実受給との差分を解消するため、つまりインバランスを減らすために行われることになります。
FIT/FIP売上
これは、プロジェクトがどの売電制度の下で運用されているかによって、FIPまたはFIT売上を表示します。
FITの支払いの計算はシンプルですが、FIPの支払いはより大きな不確実性を伴います。プレミアムの支払額の計算には、JEPXの市場価格だけでなく、日本の各エリアにおける再生可能エネルギーの生産量や昨年度の市場価格も考慮されるためです。
例えば、2022年は、エネルギー経済や地政学的な要因が多く、スポット市場、時間前市場ともにかつてないほどの高値となっています。その結果、現在の方法でプレミアムの支払額の計算を行うと、2023年度のプレミアムの額も事実上ゼロになることが予想されます。故に、算定方法についても見直しが行われる可能性があると考えています。
Tensor Cloudは、現在は公式の経済産業省の算出方法をもとに、プレミアムの支払額を算出しています。算定方法に見直しがある場合には最新の方法に従い、随時アップデートを行います。
PPAキャッシュフロー
これらは、PPAの契約条件とプロジェクトの運転期間における電力市場の状況によって、プラスまたはマイナスになる可能性があります。PPAキャッシュフローは、常にプロジェクト事業者の観点から表示されます。
PPAキャッシュフローがマイナスの場合、視覚的に合計を理解することは困難な場合があります。収益構成が関係ない場合には、代わりにチャートデータオプションから、「合計を表示する」をオンにすることをおすすめします。
キャッシュフロー
ここでは、3つの売上とプロジェクトの運転費用と初期投資をまとめて、営業キャッシュフローと年間および累計の純キャッシュフローを表示します。
純キャッシュフローチャート
プロジェクトの収益性を評価する際の指標となる純キャッシュフローをチャートにしたものです。チャート自体には、データオプションで「年間」または「累積」のどちらを選択したかに応じて、ネットキャッシュフローまたは累積ネットキャッシュフローのみが表示されます。
このテーブルには、純発電量、3つの収入源、運転費用、初期投資などの他のデータも含まれています。
生涯キャッシュフローの内訳
このウォーターフォールチャートでは、収益とコスト要素の関係をよりよく理解するために、市場収益、FIP収益、PPAキャッシュフローを総収益に組み入れ、運転コストと初期投資を差し引き、生涯純キャッシュフローを一つの集計数値として得ています。
チャートのデータオプションは、日本円の絶対値、総収入に対する割合、生涯発電電力量1kWhあたりの日本円のいずれかに切り替えることができます。