PPA設定
Tensor Cloudで利用可能なすべての電力購入契約(PPA)の設定を網羅したものです。
契約条件
このタブの項目には、両当事者間の収益、利益、リスク配分を定義する最も一般的なPPA契約条項が含まれています。
基本条件
ほぼ全ての電力購入契約に必要な基本的な契約条件をこの欄に記入します。
PPAタイプ
Tensor Cloudは、日本で使われているほとんどのPPAの構成に対応することができます。2種類のPPAを選択することができます。
PPAの種類を変更すると、関連するすべての資産のシミュレーション結果が無効になります。多くの資産が影響を受ける場合は、シミュレーションに長い時間がかかることが予想されます。
バーチャルPPA
差金決済契約(CfD)と呼ばれることもあるバーチャルPPA(VPPA)では、需要家はプロジェクトからの物理的な発電量を受け取らず、発電側も需要家への電力の供給の責任を負いません。VPPAは、固定価格のキャッシュフローを市場に連動する変動価格のキャッシュフローと環境価値とに交換する取引になります。
発電事業者(またはそれを代行する第三者)は、すべてのプロジェクトからの発電量を電力市場で販売します。その後、PPAの条件により、発電事業者と需要家の間での環境価値の対価と方向性が決定されます。異なる価格設定スキームにおける予想キャッシュフローの詳細については、価格設定スキームのページをご覧ください。
VPPAは再エネプロジェクトから得られる環境価値のみを取引するため、需要家は従来のルートで電力を購入する必要があります。そのため、需要家は電力小売業者から、これまで通り電力を調達します。
オフサイトPPA
バーチャルPPAとは異なり、オフサイトPPAは物理的なPPAの一種であり、再エネ発電事業者は需要家に対して環境価値と合わせて電力を引き渡します。この場合、送配電の費用として発生するため、PPAの価格設定を決定する際には、送配電にかかるコストを考慮する必要があります。
このPPA方式では、プロジェクトの所有と運用は発電事業者にあり、需要家には属しません。
オフサイトPPAは、発電事業者、需要家、電力小売業者、送配電事業者などの関与するステークホルダーが多くなるため、契約関係が非常に複雑になる可能性があります。
Tensor Cloudは今のところ、オフサイトPPAの需要家側の財務モデルを限定的にしかサポートしていません。これは、電力料金や小売業者の契約が多岐にわたるためです。
契約のステータス
PPAの契約状況を定期的に更新することで、PPAのパイプラインを把握することができます。選択可能な項目は以下の通りです。ドラフト中」、「押印済み」、「契約期間開始」です。
この設定は、プロジェクトのシミュレーション結果には影響しませんが、主にフィルタリングと並べ替えのために使用されますPPAリスト.
Tensor Cloudは、現在、契約開始日に基づいて契約ステータスを自動的に更新していません。
契約開始日
電力売買契約の開始日を入力します。Tensor Cloudは、その日の0:01から契約最終日の23:59までのすべての電気の流れを考慮します。
契約期間
契約期間を年数で指定します。これは必須項目であり、デフォルト値は指定していませんが、通常、PPAの契約期間は発プロジェクトの運転期間と密接に結びついています。
Tensor Cloudは、PPA契約期間終了後もプロジェクトの運転期間が終わるまでキャッシュフローを計算し続けます。これらのキャッシュフローにはPPAの決済は含まれず、純粋に市場収益に基づくものとなります。
需要家
需要家の名前を入力します。このフィールドはオプションですが、こちらに名前を入力しておくと、 プロジェクト一覧, やPPAリストで、フィルタリング機能を使うことにより、より簡単に管理できるようになります。
需要家のリストはTensor Cloudの設定セクションにある、協力会社タブでも管理ができます。
O&M事業者の名前を入力しても、そのO&M事業者があなたのアカウント内の情報にアクセスできるようになるわけではありません。このフィールドは、純粋にあなたのプロジェクトポートフォリオの管理と整理を行いやすくするためにあります。
価格条件
詳細な価格設定オプションを指定することで、契約価格の計算方法を詳細に設定することができます。
価格設定スキーム
Tensor Cloudは、幅広いPPAの価格設定スキームをサポートしています。2022年4月に設立される新しい市場制度の最初の数年間は、大半の契約が固定価格スキームの従量制契約を使用すると予想されます。今後、市場が成熟するにしたがって、様々な形態が登場してくることが予想されます。
是非、ステークホルダーの間でのリスクとリターンの様々な再分配パターンを可能にする、様々な価格設定スキームを実験してみてください。
Tensor Cloudは現在、発電量に応じた支払い方式のみをサポートしています。供給量保証を含むその他のスキームには対応しておりません。
固定
FITに最も似た価格スキームです。両当事者は、契約期間中変更されないキロワット時あたりの固定価格に合意し、発電電力量に応じて、対価が支払われる仕組みです。
一定割合で上昇
この価格設定方式では、行使価格を時間経過とともに、合意した年率に応じて上昇させていきます。
インフレに応じて上昇
この価格体系では、行使価格はインフレ率に応じて毎年上昇します。シミュレーションのためのインフレ率の予測は、シナリオ設定で設定します。
異なるシナリオを設定したプロジェクトを同じPPAに割り当てることは避けるようにしてください。Tensor Cloudは各プロジェクトを個別にシミュレートしているため、1つのPPAに異なるインフレ率を設定されたプロジェクトが含まれると、シミュレーションのパフォーマンスに影響する可能性があります。
最低価格保証
この価格設定方式では、固定または上昇する行使価格の代わりに、決済条件で定義した基準価格に対して一定の割引をすることで決済価格を設定することができます。
また、基準価格が低い状態が続くと発電事業者の経営に悪影響を及ぼすため、この価格設定方式では決済価格の下限も設定されています。
例えば、当該時間帯の基準価格が10円で、割引率が10%に設定されている場合、決済価格は9円(10円×90%)となります。
最低価格を含む例としては、当該時間帯の基準価格が10円、ディスカウント率が20%、最低価格が9円である場合などがあります。この場合、決済価格は10円×80%で8円と計算されますが、最低価格が9円と定められているので、決済価格は9円になります。
最低&最高価格保証
この価格設定方式では、発電事業者の保護を目的として決済価格の下限を設定するだけでなく、市場価格が高止まりした際に需要家を保護するための上限を設定します。
最低&最高価格
決済価格は、最高価格と最低価格で設定された上限と下限の範囲内で参照価格と等しくなります。
行使価格
行使価格は、需要家と発電事業者の間の決済を計算するために使用されます。
例えば、固定価格スキームでは、行使価格が基準価格を上回っている場合は、発電事業者は差額決済を需要家から受けることになります(差額決済契約)。
逆に、行使価格が基準価格を下回る場合、需要家は発電事業者からその差額の決済金を受け取ることになります。
最低価格
最低価格保証、最低&最高価格保証のPPAにおける決済価格の下限値です。
価格算定間隔
基準価格を算定する際の時間間隔を設定します。最小単位は卸売市場と同じく30分です。
基準となる市場
基準価格を算定する市場を選択します。デフォルトではスポット市場になっています。時間前市場もご選択頂けます。
過去の価格データを見ると、時間前市場の価格はスポット市場の価格より高い傾向にあり、PPAの決算時に時間前市場を選択すると、需要家に有利になる傾向があります。
行使価格エリア
この設定により、決済価格の基準としてどのエリア価格を使用するかを選択することができます。システム価格、9つのエリア価格、またはプロジェクトの連系エリアに合わせる
から選択でき、各プロジェクトは接続されているエリアの価格に対して個別に基準価格が設定されます。これは、複数のエリアにまたがってプロジェクトが存在する場合に、エリア間の価格差によってPPAに歪みが生じるのを避けるために特に有効です。デフォルトはシステム価格です。
まず、日本の各電力会社の過去の価格と現在の市場力学を深く理解し、それから決済価格帯を決定するようにしてください。お客様の意思決定をサポートするため、Tensor Cloudには分析セクションがあり、市場インテリジェンス機能が備わっています。是非、これらの情報を活用してより良い決定にお役立てください。
価格算定間隔
これは、基準価格が算定される時間間隔を設定します。現在、Tensor Cloudは30分のみをサポートしています。将来的には、6時間や1日の価格平均など、オプションを拡張していく予定です。
FIPのプレミアムの受け手
この設定により、キャッシュフロー計算時に、需要家と発電事業者の間で補助金をどのように配分するかを選択することができます。デフォルトでは、発電事業者が受益者になります。
プロジェクト
このタブでは、PPAに紐付けられたすべてのプロジェクトを確認することができます。また、リスト上でチェックを入れたり外したりすることで、プロジェクトの追加や削除が可能です。
FITプロジェクトや、すでに別のPPAに割り当てられているプロジェクトを割り当てることはできません。また、選択後は「保存」ボタンを押すのを忘れないようにしてください。