蓄電池の最適化
Tensor Cloudは、蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)を完全自動かつ経済的に最適なディスパッチで運用します。AIによる市場価格・太陽光発電予測から実際のBESS制御まで、エンドツーエンドでカバーするソリューションです。
FIPプレミアム、サイクルコスト設定、出力抑制信号など、多数の経済的・技術的制約を考慮しつつ、前日市場と需給調整市場をまたいで蓄電池を最適化します(時間前市場への対応は2026年予定)。これにより、BESSが扱える各kWhの電力は、システム所有者にとって最も経済的な価値が高い場所で活用されます。
対応する蓄電池構成
系統用および併設型の蓄電池システム(オンサイト需要家や太陽光を含む)に対応しています。Tensor Cloudの自動ディスパッチは、AC連系およびDC連系のいずれの構成の併設型BESSも最適化します。
日本の需給調整市場では、Tensor Cloudは系統用蓄電池および数千台もの個別蓄電池を含み得るアグリゲートされた仮想発電所(VPP)型電源等の最適化に対応しています。
対応する市場
毎日48個の30分コマそれぞれについて、蓄電池容量は卸電力市場でエネルギーとして販売したり、需給調整市場で応札したりすることができます。Tensor Cloudのマルチマーケット蓄電池最適化は、現在以下の市場に対応しています。
- JEPX前日市場
- EPRX 一次調整力(オフライン)
2026年中に、3つ目の市場としてJEPX時間前市場をリリースする予定です。
運用フロー
Tensor Cloudは、蓄電池・アグリゲーションの日常的な運用がほぼ完全に自動化されています。運用は卸電力オークション前、需給調整オークション前、当日運用の3つのフェーズに分かれます。
フェーズ1:卸電力オークション前
時刻nのコマについて、このフェーズは最適化ウィンドウの始まりであるn-7日に始まり、n-1日の10:00に終了します。
このウィンドウ中、Tensor Cloudは接続されている全ての蓄電池システムについて、少なくとも30分毎に充放電計画を更新します。卸電力・需給調整市場の価格予測の変動、新しいFIPプレミアムの推定値、最新の太陽光発電予測、蓄電池のテレメトリーデータ、サイトの停止データ(例:計画停止や予定外停止)が、Tensor Cloudの蓄電池最適化エンジンによって考慮されます。
計画更新のたびに、Tensor Cloudは48時間分の卸電力ディスパッチスケジュールをEMSに送信します。これらのディスパッチ計画はEMS上にローカル保存され、EMSがそれに従って蓄電池を制御します。Tensor Cloudは多層的なレジリエンスアプローチを採用しており、週に3回(月曜日、水曜日、金曜日)に1年分のスケジュールも送信します。これにより、卸電力・需給調整市場の取引結果が分からない状況でも、EMSには常に少なくとも1つのディスパッチ計画が用意されています。
デフォルトでは、蓄電池最適化はディスパッチ計画を作成する際に、同じバランシンググループ内の全てのプロジェクトを考慮します。これは、同じBGを共有していれば、太陽光発電システムや需要家のみを含む他のプロジェクトの経済的成果も最適化することを意味します。
需給調整市場の応札ウィンドウはn-1日の11:30にようやく開きますが、BESSのディスパッチ計画では、卸電力市場の入札を生成する時点ですでに期待される需給調整市場の落札も考慮されています。
n-1日の9:00に、Tensor Cloudは同一エリア内の最新のBESSディスパッチ計画と非蓄電池プロジェクトの発電計画に基づいて、JEPX前日市場の翌日全48コマに対して買い入札・売り入札を行います。10:00の前日オークション締切をもってフェーズ1が終了します。
フェーズ2:需給調整オークション前
前日卸電力オークションが終了し、翌日の卸電力価格とオークション結果がn-1日10:15頃に公表されると、Tensor Cloudはフェーズ2に入ります。JEPXオークション結果の公表後に最初に動作するTensor Cloud蓄電池最適化エンジンは、コマごとの卸電力販売量に基づいて、一次調整力応札に利用可能な蓄電池容量を再調整します。想定より少ない電力しか売れなかった場合、一次調整力応札に利用できる容量はより多くなります。
n-1日11:30に、一次調整力需給調整市場の応札ウィンドウが開きます。オープンの1分後に、Tensor Cloudは電源等の制約(例:各需給調整商品ごとの電源等容量)とディスパッチ計画で決まる利用可能容量に基づいて、全ての電源等について自動的に応札を行います。n-1日14:00に終了する応札ウィンドウ中、蓄電池最適化エンジンが動作するたびに、既存の応札を取り消し、新しい応札を即座に行います。これは13:58まで行われます。13:58以降は、応札の変更は行いません。
ディスパッチ計画の更新はフェーズ1と同じロジックで行われますが、卸電力前日市場の取引結果からの逸脱は今度はインバランスとなり、経済コストが発生するため、蓄電池最適化エンジンはそれを考慮するようになります。インバランスに関する挙動は、Tensor Cloudのワークスペース設定でインバランス価値を調整することで制御できます。
フェーズ2はn-1日14:00のEPRX応札ウィンドウの締切で終了します。
フェーズ3:当日運用
EPRXは毎日14:00~15:00の間に一次調整力オークション結果を公表します。一次調整力の落札情報が利用可能になり次第、Tensor Cloudは該当電源等に紐づく全ての物理蓄電池のディスパッチスケジュールを作成し、各EMSへ送信します。
OCCTOシステムがn-1日17:00から再開すると、Tensor Cloudは17:02にOCCTO経由で全ての対象バランシンググループの計画を自動的に更新し、一次調整力落札を反映します。発電BGには発電計画および販売計画、需要BGには需要調達計画を提出します。また、電源等の種類に応じて、他の計画(発電計画電力計画、基準値計画など)も自動的に作成し、17:02にEPRXのAPI経由で提出します。
当日運用フェーズ中も、ディスパッチ計画はTensor Cloudの蓄電池最適化エンジンによって更新され続けます。一次調整力落札はハード制約として扱われ、ベースラインと一次調整力落札コマ以外の充放電のみが、インバランス価値とサイクルコスト設定に基づいて動的に変化します。
一次調整力落札のキャンセル(代替不可申請)
1時間より先の全コマについて、Tensor Cloudは利用可能な蓄電池SoC、蓄電池のアラート状態、受信中のテレメトリーデータを継続的に監視し、対象電源等が一次調整力契約義務を履行できなくなるリスクを評価します。義務の履行が困難であると判断された場合、Tensor Cloudは各電力会社の標準的なプロトコル(代替不可申請/様式23)に従って自動的に落札をキャンセルします。
- 該当コマについて、EPRXのAPIへ電源等の差替申請を送信
- TSOへ通知メールを送信(様式23メール)
- TSOの運用窓口へ自動電話で差替を通知
- OCCTOの発電計画を更新
- 電源等の種類に応じて必要な基準値計画やその他の計画を更新
併設型BESSの場合、Tensor Cloudは以下の時間帯にバッチで落札をキャンセルします。
- 太陽光発電が予測される最後のコマの90分前から夜0時まで
- 夜0時から太陽光発電が予測される最初のコマの90分後まで
1日をまたぐキャンセルウィンドウは、常に2つの別々のキャンセルバッチに分かれます。そのため、当日深夜までを一度、翌日の深夜から朝までを一度、さらに翌日夕方分を三度目として、TSOに通知が送られます。
系統用蓄電池の場合、SoC起因の落札キャンセルはローリングウィンドウでコマごとに行います。それ以外の理由によるキャンセルは、1時間ゲートクローズウィンドウ外の残り全落札を含む1つのバッチで行います。
現地機器との統合
Tensor Cloudは、現地に設置されたEMS(エネルギーマネジメントシステム)を通じて、蓄電池、太陽光発電システム、電力負荷などのコンポーネントからテレメトリデータを収集し、蓄電池へ制御信号を送信します。
特定のEMSに依存せず、必要なデータの提供と制御信号の受信が可能な機器であれば、どのEMSとも連携できます。一部のパートナー企業とは統合実績がありますが、カスタム統合が必要な場合はお問い合わせください。
最適化のインプット
最適化では、ワークスペース内の各エリアにある全ての運転中のプロジェクトが考慮されます。これは、特定のインプットを持つ混合整数線形最適化モデルに基づいています。
- 各蓄電池の現在の状態(例えば、充電状態、エラー/メンテナンス状態)
- エリアの電力価格予測
- BG内の各プロジェクトの太陽光発電予測
- BG内の各プロジェクトのFIP補助金
- TSOに提出された発電または販売計画
デューデリジェンスの目的で、蓄電池最適化サービスの数学的および論理的基礎に関する詳細については、お問い合わせください。
蓄電池最適化に関するよくある質問
Q: JEPX前日市場以外に、どの市場でTensor Cloudを通して、取引はできますか?
A: JEPXスポット市場と需給調整市場一次オフラインに対応しています。2026年中に時間前市場の機能を導入する予定です。
Q: 系統用蓄電池にも対応していますか?
A: はい、系統用蓄電池に対応しています。
Q: 併設型蓄電池からどれくらいの収益改善が得られますか?
A: 併設型蓄電池の収益への影響は、魅力的なFIPプレミアムの利用可能性、蓄電池容量のkWh当たりのCAPEX、および太陽光発電システムの仕様など、様々な要因によって異なります。実際の顧客のユースケースの分析に基づくと、概算的に年間収益が最大40%以上増加することが期待できます。
FIP計算ツールから始めて、期待できるFIPプレミアムの大まかな見積もりを取得することをまずお勧めします。その後、Tensor Cloudでワークスペースを作成し、プロジェクトの詳細な技術経済シミュレーションを実行し、より詳細なデューデリジェンスを行うことができます。
Q: 初期面談から稼働開始までどれくらいの時間がかかりますか?
A: これは、蓄電池プロジェクトの成熟度によって異なりますが、通常、問い合わせから稼働開始まで3〜6ヶ月の期間が見られます。ボトルネックは通常、Tensor Cloudとの接続ではなく、蓄電池システムの納期、認定、系統連系のプロセス等です。