スポット市場価格予測
背景
蓄電池の最適化には、蓄電池を備えた全ての運転中のプロジェクトについて価格予測が必要です。Tensor Cloudは1日1回、日本の全てのエリアとシステム価格について、JEPXスポット市場価格を13日先まで予測します。
需給調整市場(調整力)の価格予測については、需給調整市場価格予測をご覧ください。
構成要素とアーキテクチャ
価格予測サービスは2つの構成要素からなります。
- 各エリアとシステム価格の予測モデルをトレーニングするトレーニングサービス
- トレーニング済みのモデルを読み込み、各エリアとシステム価格を予測する予測サービス
トレーニングサービス
トレーニングサービスは、週に1回、日曜日の日本時間23:00に実行されます。2021年4月から実行日の5日前までのJEPX価格履歴でモデルをトレーニングし、直近3週間分は評価用に除外します。各候補モデルは、30回の試行によるベイズ最適化でハイパーパラメータを調整します。
新しくトレーニングしたモデルは、直近21日間の平均絶対誤差(MAE)が稼働中のモデルより小さい場合にのみ置き換えられます。そうでない場合は、従来のモデルがさらに1週間使用されます。
予測データ
モデルは、次の変数から全てのエリアの30分コマごとの価格を予測します。
| カテゴリ | 変数 | 単位 | 時間解像度 |
|---|---|---|---|
| JEPX市場データ | 当該エリアの直近約1日分の30分毎の価格と、その1日・7日の移動平均 | 円/kWh | 30分 |
| カレンダー | 月、週、曜日、時刻(周期的な特徴量として表現) | - | 30分 |
| カレンダー | 祝日、前日・翌日が祝日かどうか | - | 1日 |
| 気象データ | 気温と、その1日・7日の移動平均・最大・最小 | °C | 1時間 |
| 気象データ | 全天日射量(GHI)と、その2時間・1日の移動平均・最大 | W/m2 | 1時間 |
| 需給見通し(ゼロ価格モデルのみ) | 電力広域的運営推進機関(OCCTO)が公表するエリアおよびブロック単位の需要・供給・予備力の見通しと、予備率・使用率 | MW、% | 1日 |
カレンダーの特徴量は2つずつ組み合わせても使用するため、例えば時刻の影響が祝日とそれ以外とで異なることも表現できます。気象データは、各エリアで太陽光発電が集中する5地点の値を使用します。
各エリアには価格モデルと、効果がある場合にはゼロ価格モデルがあります。
- 価格モデル:LightGBMとCatBoostの回帰モデルを両方トレーニングし、評価期間の誤差が小さい方を採用します。
- ゼロ価格モデル:価格が下限の0.01円/kWhで約定しそうなコマを判定する、LightGBMまたはCatBoostの分類モデルです。過去に0.01円コマが100コマ以上あり、直近数週間にも発生しているエリアでのみトレーニングし、全体の誤差が小さくなる場合にのみ採用します。判定されたコマの予測値は0.01円/kWhになります。
予測サービス
予測サービスは毎日午前6時(日本時間)に実行され、翌日0時から13日間の各エリアの価格とシステム価格を予測します。予測値は0.01円/kWhを下限とし、小数点以下2桁に丸めます。
価格予測に関するよくある質問
Q: どの市場の価格予測を生成していますか?
A: このページはJEPXのスポット市場を対象としています。需給調整市場(調整力)についても予測を行っています。詳細は需給調整市場価格予測をご覧ください。時間前市場への対応は計画中です。これらの市場の価格予測に関して緊急のニーズがある場合は、お気軽にお問い合わせください。
Q: Tensor Cloudの価格予測データをダウンロードするにはどうすればよいですか?
A: Tensor Cloudは価格予測を主に内部で、蓄電池の充放電の最適化に使用しています。価格予測はTensor Cloud UIからCSVファイルとしてダウンロードできますが、他のシステムとの連携にはTensor APIをお勧めします。
Q: 価格予測の精度はどの程度ですか?
A: エリア、対象期間、予測期間によって異なります。最も一般的なユースケースである日本時間午前6時に作成する翌日分の予測では、ほとんどのエリアとシステム価格でRMSEはおおむね2〜3円/kWhです。精度は毎日、持続予測(パーシステンス)と比較してモニタリングし、改善を続けています。特に、蓄電池の価値の多くを生む0.01円コマの予測に力を入れています。
関連情報
- Tensor Cloudの市場データ・予測機能: 価格予測を運用判断に使う方法を確認できます。
- 蓄電池アグリゲーションサービス: 価格予測を踏まえた市場運用の概要を紹介しています。
- 日本の電力市場に関する研究記事: 価格変動を考える際の市場背景を解説しています。