フィード・イン・プレミアム(FIP)は、日本の主な補助金制度です。FIPプレミアムは、発電所ごとに決まる補助金率と、現在および前年度の電力市場の価格によって決まります。
FIPは太陽光発電所の収益の大きな割合を占めることが多いため、収益の見積もりにはFIPの計算が欠かせません。
Tensor Cloudは、過去については実際の価格、将来については価格フォワードカーブを使用して、プロジェクトごとにFIPを計算します。
FIP期間
FIPの交付期間は20年です。期間はプロジェクトのCODから始まりますが、FIP開始日より前にはならず、FIP開始日から3年後より後にもなりません。FITからFIPに移行するプロジェクトの場合、FIPはFIP開始日から、FIT期間の開始から20年後までの期間に適用されます。
PPAでFIPのプレミアムの受け手を需要家に設定している場合、シミュレーションではIPPのFIP収益を計上しません。
FIPプレミアム計算ロジック
年度Y(4月から翌年3月)、月M、および補助金率Rの場合:
- Pavgを計算:各時間枠のスポット価格Psと時間前市場価格Piを、それぞれの約定量Vs,Viで重み付けした平均です。過去のプレミアムには、JEPXが公表するこの値を使用します。シミュレーションでは時間前市場価格を予測しないため、スポット価格PsをPavgとして使用します。
Pavg=(Ps⋅Vs+Pi⋅Vi)/(Vs+Vi)
- Pavg(Y−1)を計算:エリア内の年間Y-1の総PV発電量で重み付けされたPavgの平均
- Pavg(M,Y−1)を計算:エリア内の年間Y-1のM月の総PV発電量で重み付けされたPavgの平均
- Pavg(M,Y)を計算:エリア内の年間YのM月の総PV発電量で重み付けされたPavgの平均
- Preference,raw=Pavg(Y−1)+(Pavg(M,Y)−Pavg(M,Y−1))を計算
- 非化石価値価格Pnfveを取得:非化石証書の四半期ごとのオークション結果に基づく固定スケジュールの値です(前提値を参照)
- Preferenceを計算:Preference,raw+Pnfve≤0の場合、Preference=0、それ以外の場合、Preference=Preference,raw
- Preference,total=Preference+Pnfve−Pbalancingを計算。バランシングコストPbalancingは固定スケジュールの値です(前提値を参照)
- 調整係数Fを計算:月中の総PV発電量/月中の価格が0.01円/kWhを超える時間帯中の総PV発電量
- Ppremium,raw=R−Preference,totalを計算
- Ppremium=Ppremium,raw⋅Fを計算
- Ppremium=max(Ppremium,0)
シミュレーションでは、重みとして使用するエリアの太陽光発電量から、シナリオのエリア出力抑制分を差し引きます。
FIPプレミアムは各月を通して一定ですが、価格が0.01円/kWh(価格フロア)以下の時間帯ではゼロになります。プロジェクトにFIP価格スケジュールを設定している場合、補助金率Rは各変更日に切り替わるため、プレミアムが月の途中で変わることもあります。
前提値
参照価格の入力のうち、次の2つは計算時に市場データから算出されるのではなく、固定スケジュールの値を使用します。
非化石価値価格
Pnfveは円/kWh単位のステップ状のスケジュールです。各値は表に示す月から次の変更まで適用され、最も古い値はそれ以前のすべての月にも適用されます。
| 期間 | Pnfve(円/kWh) |
|---|
| 2023年1月まで | 0.6 |
| 2023年2月 – 2023年4月 | 0.775 |
| 2023年5月 – 2024年1月 | 0.95 |
| 2024年2月 – 2024年4月 | 0.775 |
| 2024年5月以降 | 0.6 |
バランシングコスト
Pbalancingは年度(4月から翌年3月)ごとに円/kWh単位で設定されます。2025年度に1.0円/kWhから0.8円/kWhに下がり、その後は毎年さらに0.1円/kWhずつ減少して2033年度に0になると想定しています。
| 年度 | Pbalancing(円/kWh) |
|---|
| 2022年度より前 | 0 |
| 2022年度 – 2024年度 | 1.0 |
| 2025年度 | 0.8 |
| 2026年度 | 0.7 |
| 2027年度 | 0.6 |
| 2028年度 | 0.5 |
| 2029年度 | 0.4 |
| 2030年度 | 0.3 |
| 2031年度 | 0.2 |
| 2032年度 | 0.1 |
| 2033年度以降 | 0 |
FIP補償金計算ロジック
月次のFIPプレミアムが確定したら、FIPプレミアムにFIPの対象となる電力量を掛けてFIP補償金を計算します。
以下の式は、蓄電池を持ち、系統充電が有効なプロジェクトという一般的なケースを対象とし、経済産業省の公式資料に基づいています。月M内の各時間枠tについて:
RFIP(t)={Ppremium,M(Esolar-to-grid(t)+λMEbattery-to-grid(t))0Pday-ahead(t)>0.01Pday-ahead(t)≤0.01
ここで、λMは月内に太陽光から供給される蓄電池エネルギーの割合です:
λM=∑t∈M(Esolar-to-battery(t)+Egrid-to-battery(t))∑t∈MEsolar-to-battery(t)
DC結合の蓄電池の場合、λMはサイトのパワコンのDC側の電力量から計算します。蓄電池の充電がまったくない月は、λMはゼロです。
蓄電池のないプロジェクトの場合、Ebattery-to-gridはゼロであり、太陽光からの寄与のみとなります。蓄電池はあるが系統充電のないプロジェクトの場合、Egrid-to-batteryはゼロであり、したがってλM=1となり、全ての蓄電池放電がFIP収益に寄与します。
蓄電池はスポット価格にFIPプレミアムを加えた価格に対して最適化されるため、プレミアムが支払われる時間帯の放電を高く評価します。
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