発電量予測
Tensor Cloudを利用して需給管理を行う上で欠かせない機能が、正確で信頼性の高いスケーラブルな発電量予測の作成です。現在、私たちは太陽光発電設備のみに対する翌日の予測をダウンロード可能な形で提供しています。今後、以下の機能を含む予測能力を拡大していく予定です:
- リアルタイムの発電量予測
- OCCTOへ提出する発電計画のXMLファイルの作成
- OCCTOへの予測提出の自動化または半自動化
- 提出前の予測の確率的調整
- 風力設備の予測
発電量予測の取得方法
特定のプロジェクトに対する翌日の発電量予測を始めるには、以下の条件が満たされていることを確認する必要があります:
- プロジェクトのステータスが運用中に設定されていること
- プロジェクトの発電量実績データがアップロードされていること
- 正しい受電地点特定番号がプロジェクトの設定に入力されていること
- そのプロジェクトがバランシンググループの一部である場合、適切なバランシンググループにプロジェクトを追加していること
ステップ1を実施すると、Tensor Cloudは毎日06:00(JST)に自動的に翌日の発電量予測を生成します。需給管理 > 発電量予測 のメインサイドバーメニューから予測をダウンロードすることができます。ステップ2と3は、予測精度を向上させるためにAIベースの予測に必要です。
Tensor Cloudは、過去の発電量実績データがなくても運用中と設定されている任意のプロジェクトの予測を自動的に作成しますが、それぞれのプロジェクトの過去の発電量をアップロードすることを強く推奨します。これにより、Tensor Cloudは各プロジェクトに対してカスタマイズされたAIモデルを作成し、最終的にはより正確な予測を生成することができます。
発電量予測データ形式
CSV形式で毎日の予測をダウンロードできます。予測のCSVファイルには以下のカラムが順番に含まれています:
カラム名 | 説明 | 単位 |
---|---|---|
datetime | 予測を行う30分コマの開始時間 | タイムゾーン付きISO 8601日付形式 |
total | 全プロジェクトに対する全体の発電量予測 | kWh |
プロジェクトの名前 | 個々のプロジェクトに対する発電量予測 | kWh |
当社の予測データ形式は、各予測の開始と終了を明示的に指定しません。代わりに、日本の電力市場が30分単位で動作するため、各予測が次の30分間をカバーすると想定しています。例えば、2023-05-11 05:00:00+09:00
のタイムスタンプを持つ予測は、その日の05:00から05:30を対象とします。
発電量予測手法
精度の高い予測を生成することは、大量のデータと発電の物理的な過程の深い理解を必要とする複雑な課題です。
Tensor Cloudは、AIモデルと物理シミュレーションを組み合わせて予測を生成します。物理シミュレーションは、Tensor Cloud上での長期的な経済プロジェクトシミュレーションにも使用しています。これらは、Tensor Cloudに新しいプロジェクトを追加する際に提供するプロジェクト情報に基づいています。物理シミュレーションは、あなたのプロジェクトのデジタルツインを利用して発電量を予測し、PVSystなどのエンジニアリングソフトウェアパッケージで作成されたシミュレーションと同様の方法で動作します。一方、AIモデルの予測は、過去の生成データを使用してAIモデルを訓練した上で予測を生成するために使用します。
特定のプロジェクトについて、過去の発電量データがないか不十分な場合、Tensor Cloudは物理シミュレーションベースの予測にデフォルト設定します。過去の十分な量の発電量がある場合には、Tensor Cloudはそのプロジェクトに最適化されたカスタムAIモデルを訓練し、それを使用して予測を生成します。
AIモデルは、物理シミュレーションベースの予測と比較して継続的に評価され、より高い精度の予測を作成する場合のみ使用されます。これまでの実証の経験や学術研究によれば、物理シミュレーションベースの予測よりも精度の高いAIモデルを作成するためには、少なくとも50日間の過去の発電量データが必要です。
特定のプロジェクトに対するTensor Cloud上の予測プロセスは次のように機能します:
- その特定のプロジェクトの場所に対する最新の天候予測をダウンロードします
- 天候予測を物理プロジェクトシミュレーションモデルまたはAIモデルに取り込みます
- 選択したモデルを使用して、次の日の00:00から23:30までの予測を生成します
Tensor Cloudは、予測を生成するために11種類の天候情報を使用します。これには3つの日射量データが含まれます。天気予報の元となるデータは、5kmの解像度で3時間ごとに更新される日本気象庁(JMA)のデータを利用し、第三者によって必要な加工を施した上で処理しています。
モデルの再訓練
Tensor Cloudは、各プロジェクトのAIモデルを定期的に再訓練します。再訓練の頻度は、利用可能な過去の実績な発電量データの量に基づいています:過去の実績データが少ないプロジェクトは、より頻繁に再訓練されます。一方、既存のデータが大量にある場合には予測精度がわずかしか改善しないため、再訓練の頻度は低くなりますます。最大の再訓練頻度は毎日、最小の訓練頻度は月に1回です。